8/5/2018 0 Comments 秋空シンセシス:日本のインディデベロッパーとのインタビューサークルの名前の意味、弾幕のジャンル、日本でのゲーム発展について 秋空シンセシスとのインタビュー シュールズ・ダグラス (Douglas SCHULES)によるインタビュー Read the Interview in English Daedalus Machine
御サークルのウェブサイトではProject Noiseというサークルの作品についても掲載されていますが、秋空シンセシスについて、またProject Noiseとの関係について教えていただけますか。 Akizora Synthesis SiON: Project Noiseは、私が秋空シンセシスのメンバーになる前に主宰していたチームです。東京電機大学内にはAmusement Makersというゲーム制作サークルがあります。Amusement Makersは大小様々なゲーム制作チームを抱えていて、Project Noiseもそのうちの一つとして活動していました。学内サークルという都合上、主要メンバーの卒業に合わせてProject Noiseは解散しました。 Daedalus Machine 「秋空シンセシス」という名前にはどんな思いや意味があるのか教えてください。 Akizora Synthesis 湯月 決めたのは自分ですがそれほど深い意味はないです。漢字2文字カタカナ5文字のサークル名が当時流行っていたのでそれに乗っかりました。「秋空」は湯月とkuuの過去のハンドルネームが由来です。「秋空」はそれなりに気に入っているのですが「シンセシス」は発音しづらいので少し後悔しています(笑)。 Daedalus Machine 秋空シンセシスは3ゲーム、すべて弾幕ゲームを制作されていますが、それらについて少し教えていただけますか。 Akizora Synthesis Kuu 作成開始から順に追うと「夢創紀」「雪晶石」「決闘弾幕」「雪景花」となるのですが、「夢創紀」を作り始めたのは高校生の時です。「夢創紀」に関しては「東方弾幕風」という、同人STGシリーズである「東方Project」風にSTGを作れる独自のスクリプト言語を用いたフリーソフトを使ってます。当時はプログラミング言語もそもそも何があるのかも知らずに、ゲームが簡単に作れると思いPCのメモ帳でプログラムを書いていました。 なぜ弾幕STGだったかというと、その時に「東方project」のゲームにはまり弾幕に魅入られていたからだと思います。もともと幾何学模様や、そういったものが好きだったので計算式だけで表現できる世界が楽しかったんだと思います。 実はこの作品は何度も作成中にリメイクを繰り返しているんです、というのも初めて独学からゲームを作るところから始まったので、最初のステージからラストステージまでの間にクオリティが変わっていったんですね。で1ステージから作り直すとまた一周してクオリティの差ができるんです。でもって、創作物って自分が納得しないとなかなか人前に出したいとは思えないんですよね。甘えですが(笑) 結果的にはまだ未完成なんです。創作物なので自分の理想にに近づけたい、でもそれをするには1人でというのは難しいものでメンバーの力も借りるんですが、でもその自分の理想のためにメンバーを巻き込んでいいのかという葛藤に悩まされます。これだと一生を懸けて創るんじゃないかなーとも思ってます。「夢創紀」というタイトルにはそういうところも含まれていますね。なんだかんだでもうすぐで10年経つんだということにこのアンケートで気づかされました、創作ってムズカシイ!(笑) 「決闘弾幕」は、作成のきっかけになったのはグループを作ってゲームを作る大学の授業でした。もともと自分ではゲームシステムなどは1年くらい頭ん中で考えて煮込んだ状態で置いておくのですが、丁度作るきっかけとなったのでGOした作品になります。ジャンルの融合ってよくあることで、これもSTGとTCGを合わせたものなんですが、当時なりに奇抜なものができたなと思ってます。制作時には大学生となりに、その時の実力を固定させクオリティを一定で作ることに心がけました、ほか作品の反省ですね。 しかし、この作品に関しては、メンバーが後にバラバラになるのが分かっていたのでステージ追加型で実装をすすめていました。それに伴い物語部分については深くは設定せずネタ方面に突き進むなどしています。案の定、今までのステージにはなかった突然の嘘次回予告をだし、打ち切りエンドのような形で終わってます。何事もなかったようにその先も作ってはあったのですが、このままだともう打ち切りエンドですね(笑) SiON また、現在開発中の雪景花は、Project Noiseで開発していた雪晶石の世界観を引き継いだ弾幕STGです。秋空シンセシスで製作された3作品とのことですので雪晶石の詳しい説明は省きますが、雪景花は弾幕STGにおける「避ける」という行為に重点を置いたゲームシステムを目指して2016年から目下開発中です。 もう少しこの作品についても詳しくお話したいのですが、イベントなどでのユーザーさん達の反応を見つつ軸を固めている段階ですので、現時点ではあまりお話できず申し訳ありません(笑)また、この作品はこれまでとは違い、英語に対応する予定で開発を進めています。 Daedalus Machine 弾幕ゲームを作るにあたってどんな事が大切だと思いますか。 Akizora Synthesis Kuu 自分にとって弾幕は、敵の弾だけでゲームのビジュアルを表現するものであり、芸術的なものを感じています。その芸術的と感じるのは「観て」「遊んで」というところから湧き出るもので、作るにあたっても美しくかつ、楽しく、そして驚かせるような考えは大切にしています。 Daedalus Machine その考え方はどのようにゲームに反映されていますか。 Akizora Synthesis 弾幕はただ綺麗というだけではなく、そこにゲームとして成り立たせないといけないもので、要は、見た目だけよくてもクリアできなかったり簡単すぎたりとならないように気を付けないといけないんです。そのバランスを保って初めて弾幕をゲームに反映させたという感じになります。 「雪晶石」ではゲームシステムのおかげでできない弾幕表現(大量な自機狙いなど)があり、そのあたりでは弾幕制作にあたり縛りプレイという感じで挑戦的な開発をしていました。 Daedalus Machine ゲームを制作するのにどのプログラムを使っていらっしゃいますか。また作品を完成させるのにどのくらい時間がかかりましたか。 Akizora Synthesis Kuu 「夢創紀」では前述の「東方弾幕風」というソフトを用いて開発をしました。また、「雪晶石」「決闘弾幕」「雪景花」ではSiONが開発した独自のゲームエンジンを使っています。 SiON ゲームエンジンはC++とLuaを用いて開発しています。決闘弾幕は雪晶石で使用していたエンジン(Noise Engine)で動作していますが、技術的負債が溜まってきたので、雪景花は別途新しいエンジン(LiME)を開発して制作しています。 kuu 制作期間に関しては、完成した「雪晶石」では4年ほどです。大学生活中に作ったものですが、なんだかんだ本格的に作業をしたのはイベントなどの出展間際にあわててという形が多く「夢創紀」や「決闘弾幕」なども同時並行してやっていたので、実際の制作時間だけで言うと結構凝縮されていると思います。よく絵描きの方が絵を描く休憩で落書きをするというのを聞くのですが、趣味のゲーム作りもそんな感覚で、脇道に走ることはあるんですよね。 Daedalus Machine これまでインタビューさせていただいた方々に「インディーゲーム」と「同人ゲーム」の違いについて伺ってきましたが、違いがあるとすればどんな事だと思いますか。 Akizora Synthesis SiON 実のところ、私はインディーゲームと同人ゲームの本質は全くの別物だとは思っていません。が、最近の流れを見ていると、所謂インディーゲームとされるものは、しばしば革新性や独創性をブランディングとして求められがちとは感じています。 Daedalus Machine コミケに参加されていますが、他にどういったイベントでブースを出されていますか。また今後参加される予定のイベントは何ですか。 Akizora Synthesis SiON デジゲー博やTokyoIndieFestなど、展示が主体のイベントにも出展しています。また、秋空シンセシスの活動範囲はゲームに限ったものではなく、メンバー各々がやりたいことを表現するための場であるため、同人ゲーム以外のジャンルの即売会に参加することも多々あります。 Daedalus Machine 東京におけるインディゲームの主だったイベントに参加されているようですが、この他にプレイヤーや他のディベロッパーに会える機会はありますか。 Akizora Synthesis SiON 大学を卒業し就職してからは、業務や私用の都合などもあり、作品のイベント出展以外で対外的に交流する機会が減ってしまいました。今後余裕が出来てきたら、また少しずつ交流は増やしていきたいと考えています。 Daedalus Machine 東京のインディゲームのコミュニティ全般についてご説明いただけますか。 Akizora Synthesis SiON 前述の理由で最近のコミュニティの動静に関する知識に少し疎くなっていますので、申し訳ないのですがコメントは控えさせていただきます。 Daedalus Machine 御サークルでゲームを作ったり宣伝したりするのにどんな問題にぶつかった事がありますか。 Akizora Synthesis SiON 同人専業で活動しているわけではないため、本業や私生活の影響を受けやすいところです。繁忙期には中々まとまった時間の確保が難しいため、少なからず進捗に影響してしまいます。 Daedalus Machine その問題は日本のインディゲームデベロッパーにとってどれくらい共通した問題だと思いますか。 Akizora Synthesis SiON 同人・インディー専業でない作家の間では概ね共通した問題だと思います。ただ、本業でも商業としてゲームプログラマーとして働いている立場としては、専業として活動していないからこそのゆとりもあるとは思っています。そこはバランスの問題かなと。 Daedalus Machine ゲームのプロモーションはいかがでしょうか。ウェブサイトとツイッター以外で、どういった活動をされていますか、もしくはどういった計画がありますか。 Akizora Synthesis SiON 現在はウェブサイトやツイッター以外での告知はあまりしておりません。イベントに出展してユーザーさんに試遊して頂いたり、見て頂くことがプロモーションにつながるとも考えているため、積極的にイベントには出展するようにしてはいます。 Daedalus Machine ゲームを売るのに、どういったプラットフォームを使われていますか、またなぜそれを選ばれたか教えていただけますか。 Akizora Synthesis SiON 「雪晶石」は同人ショップでの販売を行っていたことがありますが、現在はWebサイトから無料で配布しています。この作品は、当時大学在学中のメンバーで開発していた作品だったため、卒業後の各々の進路の都合上、連絡が取りにくくなることを懸念していました。そのため、大学卒業後の就職したタイミングでの無料化を決めました。再販を望んでくださる声も多々あったのですが、開発者側の都合でゲームを手に入れる手段がなくなってしまうことを避けたかったのです。 また、今後秋空シンセシスから頒布する予定のゲームは、完成後に同人即売会や同人ショップでの販売を検討していますが、最近はダウンロード購入を望む声も多くなってきました。作品が完成した時の情勢を見て、柔軟に対応しようと思っています。 Daedalus Machine Steamのような海外向けの配信媒体を使う予定はありますか。 Akizora Synthesis SiON はい。現在開発している「雪景花」では英語対応を行い、Steamでの公開も視野に入れて開発を進めています。本業多忙につき、完成時期はまだ読めないのですが、リリース時点で主流の海外販路があれば、そちらを利用して頒布を行うつもりでいます。 Daedalus Machine 秋空シンセシスのメンバーについて、またそれぞれの役割について教えていただけますか。 Akizora Synthesis 湯月 現在はkuuとSiONと湯月の3人体制です。kuuはゲームの弾幕プログラムやエフェクトを、SiONはシナリオ・キャラクターなどの設定周りやゲームエンジン開発を、湯月はUIプログラムやサウンド周りを主に担当しています。 デザインなどはサークル外のメンバーにご協力いただいています。ゲーム開発以外の部分ではSiONがメディアさんやショップさんとの窓口を、湯月がイベントの申込みやWebサイトの管理を行っています。 Daedalus Machine ゲームを作りたい人達、また特に日本で制作したい人達に何かアドバイスはありますか。 Akizora Synthesis SiON 昨今のゲーム開発を取り巻く流れは非常に早いため、漠然とゲームを作りたい気持ちを持っているだけでは、何から手を出して良いか見失いがちだと思います。例えば、今から手を出すのであればやはり業界的にUnityがお勧めされるとは思いますが、数年後には既にトレンドが変わっていることもあり得ます。 自分が何を作りたいか、また、それを実現するにはどういった手順を踏む必要があるのか、メリットやデメリットを加味した上でしっかりと考えることが大切です。
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