ゲームイベントの強さ、デザントの課題、インディー世界の将来について話す
Daedalus Machine
Androidでの開発で苦労した事についてもう少し教えていただけますか。 Primary Orbit ダウンロード数が伸びればその分、問い合わせが増えていくのですが、Androidユーザーからの問い合わせは、機種依存のものが非常に多く私の持っている端末では再現できなかったんです。その端末特有の問題がないかを調べたりする作業がかなり不毛でした。 また、アプリ開発者あるあるがと思うのですが、環境依存の問題(WIFIが切断されましたレベル)をすべてアプリの問題として、クレームじみた文面で送ってくださる方もかなり多く、精神的にきましたね・・・。 Daedalus Machine なぜPCへ移植しましたか。Android対応が面倒くさいという理由での移植でしょうか。 Primary Orbit パブリッシャーにPC版出そうよと言われたので、そういえばunityなら簡単に移植できるのでは?と思い実行しました。 でも、PCという豪華な環境になるとスマホ版をただ移植しただけでは面白くないなと感じ、映像面はもちろん、ゲーム性(スマホよりも、より戦略的なプレイを求める)にも大きく手を加えることになりました。 Daedalus Machine 先に、ゲームの前半については不満だらけとおっしゃっていました。不満はそれがゲームデベロッパーであれ、音楽家であれ、作家であれ、多くのクリエーターが感じる事だと思いますが、そのプロセスには終わりがあります。面白いと思ったのは特にスマホやそのアップデートには終わりがなく、開発は終わらないように思えます。スマホとPCの開発をされた経験から、この事についてどう思われますか。これは良い傾向だと思われますか。 Primary Orbit 確かにおっしゃる通りで、ゲームに限らず「モノ創り」にはつきもので、その意欲がなくなったらある意味クリエーターとして終わりなのかもしれませんね。この点においてはスマホもPC同じで、「次にやりたいこと」があるから前に進むのだと思います。 同じゲームをいつまでもいじりたおすこともできますが、その過程である程度の技術力がついたら、そのノウハウを持って次の新作に取り掛かるのが良いような気がしています。 でないと、本当に一生いじりつづけられるな・・・と。 なので、良い傾向ということになるのではないでしょうか。 Daedalus Machine Primary Orbitのメンバーは何人いらっしゃいますか。そのメンバーの役割も教えていただけますか。 Primary Orbit メンバーは私1名で、開発は全て1名でやっています。デジゲー博やコミケなどイベント出展の際は、その準備をすべてを一人でやるのが難しかったので家族の協力を得ながらやっています。 Daedalus Machine 一人でされているとのことですが、すべてのアセット(グラフィックから音楽まで)を最初から作られたのでしょうか。 Primary Orbit 一部の3Dモデル(背景・キャラクター)はunityのアセットストアで購入したものも含まれています。音楽やSEは全く作ることができないため、全編通して全てフリーのものや有料のものを利用させていただきま、ボイス・翻訳は有志の方々にご協力をいただきました。 Daedalus Machine アセットについてですが、同じような状況のデベロッパーに薦められるサイトは何かありますか。 Primary Orbit Assetはアフィリエイト機能があるため、胡散臭い情報とそうでない情報が混在していて外部サイトで探すのは個人的には難しかったです。公式のAssetストアでほしいものを検索して探すのが一番だと感じています。 ※公式の検索はわりと使いやすい印象です。 Daedalus Machine 一般的に、どんなゲームに影響されましたか。 Primary Orbit 非常に多岐にわたり、それらのオマージュも相当入れています。例えば、PC98時代のコンパイル(ぷよぷよ作ってたメーカーです)から発売されていたディスクステーション作品群だったり、Ultimaシリーズ、ウィザードリィシリーズ、SaGaシリーズ、FFシリーズ、LOVEdeLIC作品、などが色濃いです。 Daedalus Machine Primary Orbitはコミケとデジゲー博に参加されました。何か他のイベントに参加されましたか。 Primary Orbit 他も色々出てみたいのですが、現状は叶わずそれのみとなります。開発しながらイベント出展をするというのがとても難しいですね。 Daedalus Machine それらのイベントはどう違いますか。インディデベロッパーにとって各イベントの強みは何だと思いますか。インディデベロッパーはそれぞれのイベントに参加すべき理由は何だと思いますか。 Primary Orbit デジゲー博は2016しか経験はないのですが、出展者同士の交流が盛んで色々な方と知り合う事ができたのが印象的であり、とても刺激的でした。コミケは、一般参加者の数が圧倒的に多いので宣伝効果や、頒布の面で非常に強力なイベントだと感じました。 またいずれのイベントも色々な企業の方が来ていたりするので、色々な方面の方々からお声掛けをいただけるのも活動をしていく上でとても大きな収穫になったと感じています。是非一度は出展してみることをお勧めします。 Daedalus Machine 「インディーゲーム」と「同人ゲーム」と、何がどう違うと思いますか。 Primary Orbit 昔は1次創作か2次創作かで区別するのかなと思っていましたが、近年ここの境界が曖昧で私には違いが分からないです。自分の作品はどっちなのかと言われると、これもよく分からないので手に取ってくださった方が感じたほうでいいのではないでしょうか。 Daedalus Machine それでは、どの程度ゲームがどこで販売されているかが違いだと思われますか。例えば、デベロッパーの経験に関わらず、コミケでゲームが売られていれば「同人ゲーム」、PSNで売られていれば「インディ―ゲーム」など。 Primary Orbit コミケでもなんとなくインディーよりなのかなーとか、PSNでも同人よりなのかなーとなんとなくの雰囲気で感じることもあるので、やはり私には分からないですね・・・。 Daedalus Machine インディーゲーム」も「同人ゲーム」も違いに意味はないと思われますか。 Primary Orbit 個人的には違いに意味を感じません。ゲームをやって面白ければ面白いし、つまんなければつまんない。 ただそれだけで、そのゲームがどっちなのかということを考えることはないです。なので、よくわからないがゆえに、私自身の作品も、場に合わせて両方の言い方を使い分けています。 Daedalus Machine ゲームを制作されるにあたって、どんなエンジンを使われていますか。またゲーム制作にはどのくらい時間がかかりますか。 Primary Orbit Unityを使って開発を行っています。 時間はちゃんと測っていないので分からないのですが、本業はサラリーマンなので、平日は仕事が終わってから深夜まで、休日は朝から晩までほぼ全ての時間を開発に充てています。毎日寝るのは深夜2時~4時くらいです。 この生活を3年くらい続けている感じです。 Daedalus Machine これまでどんな宣伝活動をされてきましたか。 Primary Orbit イベントへの出展と、個人のtwitterで告知をつぶやくくらいでしょうか。プレイしてくださった方々の口コミでゲームを知ったという方が非常に多く、感謝の気持ちでいっぱいです。 Daedalus Machine ゲーム制作および宣伝活動について一番大変だった事は何ですか。 Primary Orbit 制作で大変だったことは、プログラム完全未経験者だったので、プログラムを書く工程が本当に苦しかったです。他のソースで出力した変数をまた別のソースで読み込むのってどうやるの・・・とか、出来る人から見たらビックリするほど初歩的なことで何日も行き詰ったりしています。 宣伝で大変だったことは、コミケの出展準備と開発の両立が困難で、バグがなかなか取れないのにイベント開催日がどんどん迫ってくる恐怖感は、ちょっと気が変になりそうな思いでした。 また、個人でもできるコスパの良い宣伝方法がなかなか見つからず宣伝自体が大変です。 Daedalus Machine これまでの経験から、日本のインディゲームデベロッパーやその作品は将来的にどうなっていくと思いますか。 Primary Orbit 今後、開発の敷居がどんどん下がり沢山の作品が生み出されていくと思います。PS4などの家庭用ゲーム機でもインディゲームが販売されるようになりましたし、これから市場はどんどん大きくなっていくのだろうと思いますし、そうあってほしいなと思います。 Daedalus Machine ゲーム作成に興味のある人に何かアドバイスがありますか。 Primary Orbit 私はもともとデザイナー畑出身で開発スタート時点でプログラム完全未経験でしたが、それでも完成まで持って行けたのはUnityという優秀な開発ツールがあったからこそだと思っています。 つまりはプログラム未経験者でも意外と何とかなるので、まずはツールを触ってみることをお勧めします。 Daedalus Machine 他に開発中のゲームはありますか。もしあれば、それについて少し教えてください。 Primary Orbit 今は、メルヘンフォーレストの続編を作っています。幸いにも反響をいただけているうちは、メルヘンフォーレスト関連で手一杯になるのだと思います。 続編は、これまでで得たノウハウや、本当はもっとこう作りたかった、という思いを具現化する予定で着手を始めたところです。作りたいものは「RPG」なので、その色がより強いものになるのではないかと思っていますが、完成までは数年レベルの時間を要すると思います・・・。一人だとこれが辛いですね・・・。 関連コンテンツ
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